精神保健福祉士のchiroです。障がい者支援するなかで性同一性障害でかつ精神的な病を併せ持つ当事者とのかかわりも多いです。作業所に通うBさんの相談を受けながら相談できる人を作ることの大切さを教えていただきました。
精神的病も発症
Bさんは30代。戸籍上は女性ですが、心は男性。アルバイトしながら生活していましたが、やはり周囲からいろんな目で見られることが苦になりうつ病を発症。
産婦人科でホルモン注射を受けながら、精神科にも通い向精神薬も服用されています。体も男性に見せたいという思いからジムに通い鍛えていました。人の世話を焼くのも好きで、いろんな人の相談にも乗っていた。
アルバイト先でいやだった経験とは仕事終わりに食事に誘われて、男女関係をいろいろ聞かれることだったと教えてくれました。
出会いからトラブル対応
初対面では男らしく、女性の感じは一切なく。男性として接することが容易にでいた。それでもいろいろ生活のこと、病気のこと、性転換のことと悩みはいっぱい抱えていてひとつひとつ話してくれました。
救いは理解してくれる女性のパートナーを持っていたことです。なんでも相談していました。そのパートナーもうつを抱えていて互いに支えあって生きていました。
でもBさんの周りにはなぜかトラブルが多く、周囲の人が介入しないといけないことが度々ありました。心のバランスが不安定になるのか、ごまかすことが多く、結果、自分を追い込んでしまうことが度々。
よき理解者がそばにいることで、何とか前に向いてすすむことはできるが、また自分を大きく見せようとする特性が出てしまい、ほかの人を巻き込んでしまう。
ホルモンバランスが崩れると体調が悪くなり、外にも出られなくなる。些細なことが気になり自傷してしまう。
トラブルの原因のひとつは、相手に向かってストレートに人に言ってしまう性格。
その場の雰囲気が悪くなろうが、言いたいことはいう。ある意味人が言えないことを代わりに言ってあげるという正義感からくる言動かもしれません。
でもその人のいないところでも他人に悪口を言ってしまう癖も持ち合わしています。
性格の問題なのか、症状なのかわからないが、社会性に欠けた行動、言動に走ってしまう。
社会的背景
そうなる原因は難しいですが、社会の中での居場所がみつからないところにある気がします。
社会からつまはじきにされている疎外感が、自己顕示を強め、相手に勝らないといけないと自分に科せているように感じます。
性同一性障害はいまでこそ理解されてきているが、現実には色目で見る風潮はまだまだあります。同じ人間で、心と体が一致しないだけで、みんなと同じように生きる権利があります。
就職でも性別を書かせる必要はありません。仕事は男女の差別はなくなっています。
Bさんへの助言
Bさんのような方は、
・自分のことを認める。
・自分の性格を知る。
・自分がしたいことを知る。
・自分の課題を知る。
そして
・相談者できる人をつくる。
・相談者にはごまかさない。うそをつかない。
そして生活リズムを整えて、理解者に相談しながら、一歩一歩すすんでいっていただきたい。
精神的な病は薬によって緩解状態になることが可能です。絶対自分に手をかけないこと。選択肢はまだまだあるので、焦らず、自分のやりたいことを自分の力で進めていっていただきたい。
必ず近くにわかってくれている人がいます。一人にならず何でもありのままに相談できる人を作ってください。
Bさんでなければできないことは必ずあります。
支援者へのお願い
関わる支援者としては、同じ人間で、同じように権利があることを示し、本人がどうしていきたいのか時間をかけて整理してあげることが大切と思います。そして、間違った考え方、行動はしっかりと間違っていることを教えてあげることも大切です。
そして、社会にはマイノリティで生きることの苦しみを排除できる働きかけが必要と思います。
人一倍生き苦しさを感じているひとが周囲にいることを感じ、できることから行動をしていきたい。まずはそのまま受け入れてあげることが肝心と思います。