就労相談員16年のuraraです。いままでに多くの障がい者の方の相談を担当してきました。その中で、障がいをもって大学を卒業される方もおられます。焦る中、なかなか採用の決まらない。その方が就労移行支援というサービスを使って就職されたケースをご紹介します。
みんなと同じように就職したい
障がいをもって大学に進学し、また就職活動するということは、健常者の方と違った様々な悩みがあります。みなさん希望した職種に就職したいのは当然です。
大学生のBさんはLD(学習障害)と経度の知的障がいを持っていました。
Bさんは事務職に就きたい。そのために語学も学んでいます。と
Bさんの印象は、真面目で礼儀正しく温厚な印象を受けました。
Bさんはアルバイトの経験もあり挨拶や協調性などの社会性は備わっていました。
職種や労働条件を問わなければすぐに就職が可能な方でした。
しかし、希望する事務職を叶えるには、電話応対が苦手なこと、応用が苦手なところがあり
仕事をするうえで、自分が配慮してほしいところをうまく説明できません。
自分の特性を理解し説明することは、会社に入ってから、「これが苦手です。こうしてほしいです。」という
合理的配慮(企業が障がい者雇用のなかで当事者が仕事がしやすいように配慮する環境をつくること)
を伝えることが必要です。これが準備性になりますが、Bさんには備わっていませんでした。
でもBさんは大学を卒業する前に就職を決めたい。周りの人がどんどん就職が決まっていく中で自分だけが取り残されたようで焦っていました。
就労するために必要なこととは
いまのままではBさんは事務職に採用になる見込みがありません。
Bさんの焦りはよくわかりますが、障がい者雇用もライバルが多いため、準備が整っている方が採用されます。
Bさんは焦って就職活動してもなかなか採用されず、もし採用になっても、配慮してもらうことができず、
仕事についていけず、退職に追い込まれることが予測されました。
Bさんに希望する事務職に就くためには準備が必要であり、焦っても余計に時間がかかることを説明しました。
Bさんが納得するには数回の面談がかかりましたが、ようやくわかっていただけました。
移行支援事業所の利用をすすめる
Bさんが自分自身のことを理解するにはどうしたらいいか
その方法として障がい福祉サービスのひとつである就労移行支援事業所というのがあることを説明しました。
就労移行支援事業所とは障がいを持った方が、就労を目指すうえで、どんな特性があって、どんな課題があって、その人にはどのような仕事、環境が合うのかを専門のスタッフが一緒になって考えてくれます。
Bさんは事務職を希望されていますが、その事務職に就くために何が必要か支援者と一緒に考えることが必要でした。
Bさんは見学と体験をして自分が通所したいと思う就労移行支援事業所を選びました。
就労移行事業所のスタッフにはBさんは早く就労したい気持ちがあったけど準備をしましょうとの声かけに納得していただいていることをお伝えしました。
二人三脚で採用を勝ち取る
Bさんは移行支援事業所で個別のプログラムを立てていただき、毎日通所されました。
そして半年後には就職活動が始まり、希望の事務職を目指しました。
数多くの不採用通知もありましたが支援員のサポートがあることで前に進み続け、
ようやく希望に叶う採用通知を受けることができました。
Bさんを採用した会社の担当者からは、仕事は十分にできることを始めから期待しているわけではないです。Bさんの真面目さや一生懸命さを評価しました。とのことでした。
近道だった就労移行支援
Bさんは決して軽度の障がいではありませんでした。
Bさんは周囲の助言に耳を傾けたことが大きく影響したと思います。
自分の思いだけでは希望通りの就職達成は困難な場合が多いです。
達成したとしても、理解してもらえずにつらい思いで我慢しながらの就業になる場合があります。
障がい特性を把握してもらえば自分の能力を伸ばすことができます。Bさんでも得意なことが必ずあります。
障がいがあっても就職は可能です。希望通りの就職をするためのサポートがあります。
Bさんは今でも職場で課題を一つずつ解決しながら継続して働いています。
就職することも大切ですが、定着するためにもフォローが必要になります。職場での課題解決にも就労移行支援事業所のスタッフが会社と本人の間に入って話し合いしています。
なかなか就職が決まらなず悩んでいる障がい者の方へ
遠回りのようで結局、近道でかつ定着するために
就労移行支援事業所という福祉サービスがあることを知っていただきたいです。
相談したい方は、地元のハローワークや、市町村の福祉の窓口で教えていただけます。
まずは焦らず、相談からしてみてください。